穢れ亡きカケラ
「……え」
黒い影が、俺達の前に現れた。
(あ、痛みが……)
段々と薄れて行くのがわかった。
「だ、誰──?」
すると、ゆっくりと口を開いた。
「お前だろ?カケラを持っているのは」
話し掛けられたのは、春歌でも、リクでもない。
──紛れもなく、俺に掛けられた言葉だった──…
影は、じわじわと形を変え、やがて人形になった。
それは、手のようなものを俺に向かって伸ばしてきた。
「な……っ」
正確には、瞳に伸ばされていた。
きっと、言っていたカケラというものが入った、俺の右目に──