穢れ亡きカケラ
その時だった。
──キンッ!
「ふ……っ!!」
一瞬だが、鋭い痛みが、やはり右目に走る。
「賢吾?」
「っ嗚呼……悪ィ……」
「本当に大丈夫なの?」
「平気だ……」
「そう……?あ、陸斗。さっき、その辺見てきたけど、何もいなかった……気のせいだったんじゃないの?」
「そっ、そんな事……だってほら……傷だって……あれ?」
自分の腕を見たリクは、目を丸くした。
「傷が、無くなってる……」
「ほら、やっぱり気のせいだったのよ」
「えー……」
……いや、リクは、嘘は吐かない。
──俺が傷を見ようとしたら、消えたのか……?