穢れ亡きカケラ
「俺がお前等を此所へ連れて来た理由は、世界のバランスが崩れかけているからだ」
世界の……バランス──?
「そ、そんな大逸れた事、俺達とどんな関係があるんだよ。つか、いい加減離せやリク」
そう言うと、不満そうな顔をしつつも、渋々と俺を解放した。
そして、暁に向き直る。
暁は静かに、だが、強い眼差しを俺に向け、言った。
「──それだ」
「……っ」
暁は、俺の右目を指し示していた。
「あの時、お前は見た筈だ」
「あの時……」