穢れ亡きカケラ
第Ⅲ話
「あ、あの」
俺が、黙々と考え込んでいると、春歌が口を開いた。
「世界のバランスが崩れているって言いましたよね?」
「嗚呼、言ったが?」
暁が、俺から春歌へと、目線を移し、応える。
「それって──…」
春歌が言い掛けた、その時だった。
ドガッ!!
「えっ!?」
突然、大きな物音が聞こえた。
ズダンッ
グルル..
「な、何だ!!」
音と共に、獣のような唸り声が響いて来た。
突然の事態に、動揺した俺達は、パニック状態に陥りそうになっていた。
……ただ1人、暁を除いては──。