お菓子は彼女を裏切らない



僕と同い年であろう女の子だった。


肩まである、少しボサボサ気味の黒髪に赤い目。

衣服はというと、色とりどりな花が描かれてある赤の着物。


そんな姿をしている少女は、近くの戸棚を揺すっていた。


いや、こんなところに女の子がいるはずない。


僕は数年この家を離れていたから、親戚かどうか区別はつかない。

それでも誰かが住んでいるのなら、祖母が予め言っているはずだ。


じゃあ、この少女は。

不法侵入者か、僕の“信じないもの”か。


じっと見つめていると、部屋の中にいる少女と目が合った。
< 6 / 8 >

この作品をシェア

pagetop