お菓子は彼女を裏切らない
僕と同い年であろう女の子だった。
肩まである、少しボサボサ気味の黒髪に赤い目。
衣服はというと、色とりどりな花が描かれてある赤の着物。
そんな姿をしている少女は、近くの戸棚を揺すっていた。
いや、こんなところに女の子がいるはずない。
僕は数年この家を離れていたから、親戚かどうか区別はつかない。
それでも誰かが住んでいるのなら、祖母が予め言っているはずだ。
じゃあ、この少女は。
不法侵入者か、僕の“信じないもの”か。
じっと見つめていると、部屋の中にいる少女と目が合った。