君を探して
「無理! 無理! 絶対無理ー!!」

そう叫ぶと、私はベッドの上に携帯を投げ出して、立ち上がった。

落ち着かなくてそのままベッドに腰掛けたけど、それでもやっぱりじっとしていられなくて再び立ち上がる。


何やってるんだろう、私。


……あと5分後には、携帯が鳴るんだ。

その電話を取れば、“オレ”のことが分かる……。


“オレ”は、当たり前のように「電話をかける」と言った。

そう。
“オレ”は、私のメアドだけじゃなくて、携帯番号まで知っているんだ。


私は、ゆっくりと、ベッドの縁に腰掛けた。

“オレ”は、この電話の先に、確かに存在しているんだ。


携帯のサブディスプレイが、刻々と時間を刻み続けていた。

あと1分。

“オレ”はもう、携帯に手をかけちゃった?

メモリ検索して、私の番号を呼び出して、通話ボタンを押しちゃった?


──そして、5分ちょうどで、電話が鳴った。
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