君を探して
まもなくして、先生たちがゾロゾロと揃って視聴覚室へ入ってきた。

緊張感でいっぱいになる私たち。


「深月、怪しいと思うヤツの場所はチェックしとくんだよ」

チョコはそう言うけれど、残念ながら心当たりはない。

私は視聴覚室を見渡した。

最前列に、慎の姿。

朝練で遅れたせいで後ろの席が取れなかった陽人とヤマタロも、前の方に座っていた。

私の目の前には、1人で下を向いておそらく携帯をいじっている東雲の姿もある。

吹奏楽部のメンバーの半数は、教室の中央近くに固まって座っていた。

同じクラスの男子は散り散りになって、気のあった仲間同士で集まっている。


本当にこの中に、“オレ”がいるのかな……?


そして、先生たちの手で資料が配られ、説明会が始まった。
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