君を探して
教頭先生がマイクを手にとり説明を始めると、ざわついていた教室はしんと静まりかえった。

みんな、真剣に話を聞いている。

そんな中、私は机の下に携帯を忍ばせ、メーラーを起動させた。

「ゆっくり書いていいからね、話は私が聞いといてあげるから!」

チョコは前を向いたまま、膝で私の腕をつついた。

……こんな状況で、何をゆっくり書けっていうんだか。


私はいろいろ考えた結果、

<受験、がんばろうね>

と書いた。

“オレ”のアドレスなら簡単に呼び出せる。

我ながら、手慣れたものだ。

「気をつけてね、ばれたら没収されるんだから!」

チョコはそう言うけど……

「でも、“オレ”だって、バレたら怒られるんだよね……」


私はそっちの方が気になるよ……。

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