君を探して
「……では、別紙カレンダーを見ながら説明します……」
先生の声と、一斉に配られた資料のページがめくられる音。
「チョコ……どう?」
「深月のほうは?」
「……こっちは、何も変化なし」
「うん……私も」
着信音もバイブの振動も聞こえなければ、怪しい動きをする姿も見あたらなかった。
「はぁぁ。……やっぱり失敗かぁ」
チョコが椅子の背もたれに背中をつけて、大きくため息をついた。
「うん……残念だけど」
「また、別の方法考えようね」
「そうだね……」
あぁ、よかった。
“オレ”が見つからなかったのは残念だったけれど、
でも、着信音が鳴って、“オレ”が先生に怒られるようなことにならなくて本当によかったよ。
私はほっと胸をなで下ろした。