君を探して
「私もメル友ができたんだ」

「……そ、そうなんだ……」

その時チャイムが鳴って、それと同時に先生が教室へ入ってきた。

「今度相談に乗ってよ、東雲」

「……うん、いいよ……その……僕でよければ……いつでも……」

東雲の頭が小刻みに揺れる。

「ありがとー!」


東雲の隣の席になって2ヶ月。

最初は挨拶するだけでいっぱいいっぱいだった東雲が、最近ではぎこちないながらも、私の話に答えてくれる。

ずいぶん仲良くなれたよね、私たち。

きっと年が明ければ席替えがあって、席も離れてしまうんだろう。

オタクだし、怪しいとこもいっぱいあるけど、でも、なかなか楽しいヤツ。

「私、東雲が“オレ”でも、全然いけるんだけどなぁ」

そう言って笑う私。


東雲は、何のことだかさっぱり分からないという顔で、私のことを見ていた。

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