君を探して
翌日になっても、チョコの様子はすっかり元通りになっていたけれど、“オレ”のことについては何も話そうとしなかった。

……何か気づいたのかな?

だけど、それを知るのが怖くて、私から話を切り出すことはできなかった。


そのせいだろうか。

その日はなんだか気がのらなくて、私は部活を早退した。

寂しそうなタケちゃんを1人残して帰るのは心苦しかったけれど……。

(また明日フォローしてあげないとね)

そんなことを思いながら下駄箱で靴を履き替えていると、背後から聞き慣れた声がした。

「深月、今帰りか?」

振り返ると、陽人とヤマタロだった。

「うん、2人は?」

「俺たちも今あがったとこ」

陽人がそう言うと、ヤマタロも空を指さす。

「天気悪いから早めに切り上げたんだ」


確かに、空は黒い雲に覆われていて、今にも雨か雪が降り出しそうな気配だ。

「だったら、久しぶりに3人で帰ろうよ!」

「そうするかー」


……なんだか2人に会ってホッとした。

気心の知れた2人と他愛もない話をして笑っていると、不思議なことに胸のモヤモヤが晴れた気分になる。

私たちは3人並んで、笑いながら、学校を後にした。

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