君を探して
学校を出て駅へ向かう途中、いきなり陽人が足を止めた。

それは、ファストフード店の前だった。

「なんか腹減ったな。ちょっと寄ってく?」

店内をのぞくと、この時間帯にしては珍しく空席が目立っている。

「オレはどっちでもいいけど、深月はどーする?」

ヤマタロが私に聞いた。

「うーん……」

少し考えてから、私は言った。

「やっぱり、私はやめとくよ……」


慎と別れて以来、このお店には一度も足を踏み入れていない。

正直言うと……まだ辛かった。

決して慎に未練があるわけではないけれど、このお店には思い出がたくさんありすぎて。

楽しいことも、悲しいことも。

お店の前を通るだけで、慎と別れた日の胸の痛みがよみがえってくる。

私の心の奥深くには、まだ、その時の傷が行き場を見失ったまま居座っていて、私をチクチク痛め続けている。

それが「完治」するのには、もう少し時間がかかりそうだった。
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