君を探して
「どうしたんだ?食い意地の張ったお前がそんなこというなんて。だから雨降るんじゃないか?」

陽人が驚いて私を見る。

「……金がなかったらおごってやるぞ?」

なんて失礼なヤツ!

「私だって食欲がないときぐらいあるんだよっ!」

「……てゆーか、もう雨降りそうだし。深月が行かないんなら、オレもパスだな」

ヤマタロはそう言って店を素通りした。

助かった……。

私はヤマタロの後に続いた。

振り返ると、取り残された陽人が、未練たっぷりに店内を眺めていた。


「陽人、早く!」

私がそう呼ぶと、陽人は

「なんだよお前ら、つきあい悪いな!」

とぼやきながら、仕方なしに私たちを追いかけてきた。
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