君を探して
翌朝目を覚ますと、私は寝ぼけながら携帯を開いた。

まだ意識の半分は眠っている。

それでも、使える意識を総動員させて、私は携帯を操作して新着メールを確認した。

しかし、今朝も、やはり“オレ”からのメールは届いていなかった。

どんどん“オレ”が遠く離れて行く気がして、大きなため息をひとつつく。

“オレ”とのメールが途絶えるようになってから、これが毎朝の日課になっていた。


私は重い体を引きずりながらベッドから下りた。

(今日は、東雲に話をしてみよう)

制服に着替えながら、私はそう心に決めた。


チョコは、一緒に話を聞いてくれるかな……。


脳裏に、チョコが“オレ”からのメールを見たときの顔が浮かぶ。

……驚いたような、不思議そうな、いつものチョコとは違う顔。

陽人も、昨日の帰りに、なにか考え事をするような顔をしてた……。

そんな2人の顔が重なる。

その表情からは、どこか似たような印象を受けた。


……何だろ。気になるなぁ。


だけど、私がその理由を知るのは、もう少し先の話……。

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