君を探して

オレ様を見つけた

「東雲、ちょっといい?」

翌日の放課後、私は帰り支度をする東雲を引き留めた。

「聞きたいことがあるんだけど」

HRが終わってまだ5分もたっていないのに、教室に残っているクラスメイトは半数程度にまで減っていた。

残っていても、それぞれ帰り支度をしたり、勉強をしたり、友達とおしゃべりをしていたりして、他人には関心なしといったところだ。

昼休みに、チョコに
「今日東雲に“オレ”のことを聞いてみようと思うんだけど」
と言ってみた。

もちろん一緒に聞いて欲しくてそう言ったんだけど、

チョコは「深月1人で聞いてみな!」とあっさり断ってきた。

……どうしちゃったんだろう。

あんなに乗り気だったチョコのテンションは、ここ数日で一気にガタ落ちだ。

「チョコ、どうかしたの?」

私が不安げに聞くと、チョコは笑って

「私、“オレ”を探すの、やめるね」

と言った。

「え?」

「でも深月は、ちゃ~んと探してあげるんだよ!」

「……どうして?」

「だって、ここから先は、深月が自分でやらなきゃ意味がないから」

チョコのその言葉は、私を突き放すようで……


でも、とても優しかった。

「検討を祈る!」

チョコは、私に敬礼した。

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