君を探して
そんな深月が、高校に入って恋をした。

相手は同じ吹奏楽部の同級生、慎だ。

それまで色気なんて全くなかった深月が、高校になって仲良くなったチョコに化粧を教えてもらったり、淡いピンクのマニキュアをするようになった。

そして、昼飯を食べながら、オレや陽人の前で、頬を赤くしながら慎の話をする。

そのくせ、オレが冷やかし半分にあれこれ聞こうとすると、
「もーう、ほっといてよ!」
と言ってはぐらかす。

それもニヤけた顔をして……。

人の恋路については根掘り葉掘り聞いてきたくせに。


だけど、アイツがどんなに女らしくなっても、オレにとっては相変わらず限りなく“親友”に近い“親友の幼なじみ”で、

オレは妹の初恋を見守る兄貴の気分だった。


……それが、まさか、恋に落ちるなんてな。

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