君を探して
「決まってからじゃ遅いだろ!」

「だけど、もう少し様子を見てからでもいいだろ?」

だけど陽人は一度言い出すと聞かない。

「大丈夫だよ。深月を怖がらせないように、ジョギングしてるフリするから……」

そんなことするなよ。
メールを送っているのはオレだ、オレ。


だいたい、チョコも陽人も、深月のことを心配しすぎだ。

こいつらはいつだってそうなんだ。

本人よりも周りの人間が大騒ぎしてどうする……。


深月を放っておけないのはよく分かる。

あいつはそそっかしいとこがあるし、思わず「助けてやりたい」という気持ちにさせられるヤツだ。

だけど。

オレ達がそんな風だから、アイツはオレ達にこれ以上心配をさせまいとして、弱音を吐かなくなったんじゃないのか?


「おまえに反対されても、俺はやるからな」

陽人の決心は固いようだ。


「勝手にしろ!」


陽人を締め付けるオレの腕に、いっそう力が加わった。
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