君を探して
それから。

2度目のメールは、帰りの電車で偶然耳にした「抜き打ち検査」。

心配性のチョコたちのこともあるし、あまりこっちの気持ちを全面に押し出しすぎると深月は警戒するだろう。

そう思って、あえて、核心に触れないまま来る日も来る日も雑談を重ねた。

そして、アイツは少しずつ、だけど確実に“オレ”に気を許すようになっていた。


毎日欠かさず交わされる、朝と夜のメール。

それは、深月を独占できる貴重な時間だった。

こんな面倒くさいこと…と思いながら始めたことだが、オレは間違いなくこのやりとりを楽しんでいた。


一方慎は、後輩の女と一緒にいることが多くなっていた。

部室で、教室の前で、駅周辺で。

女の方が積極的で、慎は押されっぱなしなのはすぐに見て取れたが、それでも慎もまんさらでもなさそうで女を拒もうとしない。

その2ショットを見るたび、深月の泣き顔が浮かんだ。


あいつら、もうそんなに長くないかもな……。

何となくそんな予感がした。


そしたら……あの事件だ。

陽人のバカ、暴走しやがって。

おかげで修羅場じゃないか。
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