君を探して

深月が失恋したとき

駅に着くと、ちょうど電車がホームに入ってきたところだった。

急いで電車に体を滑り込ませると、すぐに扉が閉まって電車は走り出す。

オレはゆっくりと座席に腰をかけた。

普段あれだけ走り込んでいるのに、すっかり息があがっていた。

(なんとか間に合ったな……)

それでも、家に着く頃には22時半を過ぎてしまう。

ふと、エレベーターの中で“オレ”からのメールを待ちわびていた深月の姿を思い出した。

オレは少し考えた後、カバンから携帯を取り出した。

確か『BIGLAUGH!』には携帯版があったはずだ。

ブラウザを起動させ、URLを1文字ずつ、携帯の小さくて押しにくい数字ボタンを押しながら入力する。
慣れない上に焦りもあって何度も間違えた。

それでもなんとか『BIGLAUGH!』にたどり着いたオレは、ログインしてメール画面を開いた。

そして、アドレス帳を開いた。
登録してあるのは1件だけ。深月のメアドを選択した。

腕や肩に力が入っているのが分かった。

慣れないことはするもんじゃない。

世の中の奴らは、こんな面倒なことを平気でやってるのか?


……っていうか、深月はいつもこんなことをしてるんだよな。

「あー、イライラする!」

そう思いながら、オレは深月にメールを送った。


<今日はあんなことあって疲れてるんじゃない?>

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