君を探して
その時、電車が急ブレーキとともに止まった。

必死で気づかなかったが、オレがたった1通メールを書いて送る間に、電車は2つ先のオレの降りる駅に着いてしまったようだ。

改札を出ながら、オレは画面をリロードさせる。

携帯に直接届くのならまだ楽だが、『BIGLAUGH!』のWEBメールは自分で画面を更新しないと新着メールが確認できなかった。

3度目の更新で新着メールが確認できた。

……ちょっと待て。
早すぎるだろ。
もう少しゆっくりしてくれ。

オレは携帯を凝視して、今にも止まりそうなくらいの早さでゆっくりと歩きながらメールを書いた。

ボタンを押すのに必死になりすぎて、何度も足を止めながら。

<今日はもう寝る?>

それは、深月を気遣った気持ちが7割。
残りは自分のためだった。

だけど深月はオレの苦労なんてつゆ知らず、
<話したいんだけど>
と返事を返してくる。

しかも速攻で。


……今思えば、あのときのオレはかなりイライラしていたんだ。

慣れないメールを歩きながら送る羽目になっているし、

深月はすでに『あきらめモード』に入っているし。

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