君を探して
……オレはどんだけ冷静なんだ。

前の晩あんなことがあってヘコんでいたのに、次の日の朝、オレは深月と何もなかったように話をした。

チョコと話し込んでいるところに割って入り、
「あの後、何の用事があったの?」
なんて、わざと“オレ”を思い出させるようなことを聞いた。

深月は少し気まずそうな顔をして、必死に“オレ”との一件をごまかそうとする。

アイツはオレが思っていたよりずっと昨日のメールを後悔しているようで、次第に声が小さくなり、ついには無言で俯いてしまった。

深月の反応をいちいち楽しんで……意地悪だよな、オレは。

だけど、なんだか面倒くさくなって、オレは話を切り上げた。

「まぁ、言いたくないならいいけどな」

深月が目の前で安堵の表情を見せた。

……なんてバカ正直な奴。


チャイムが鳴り、席に戻るときに、チョコがオレに耳打ちした。

「ヤマタロ! 今夜電話するからね!」

「何で?」

「深月が今日、慎と話をするんだよ………」

「………ふぅん………」

「話をするって事がどういう意味か、分かるよね?」

「あぁ………まあね」

「だから、陽人と3人で、今後の対策考えよう!」


オレはため息をついた。

長い1日になりそうだ。

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