君を探して
オレはキーボードに向かった。

<じゃぁ、お願いがあるんだけど>
<なに?>
<あいつとの思い出、全部オレに聞かせてよ。それで、全部話したら、忘れちゃえよ>

そうだ。
せめて、思い出を心の奥底にしまい込むのはやめてくれ。
いつまでもお前の中に慎がいるなんて、そんなのオレは我慢できない。

<……じゃぁ、まず、あいつと出会ったとこから話して>

オレは、深月を誘導し始めた。

慎との出会い、
第一印象、
告白、
最初のデート


……最初は深月も素直に、冷静に、オレの質問に答えていた。


だけど。

<ケンカしたことは?>

そう聞いた頃から、次第に様子がおかしくなってきた。

返事が返ってくるのが遅くなってきたのは、慎のことを思い出しているからか?





……もしかして、泣いているのか?





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