君を探して
翌朝、眠い体を引きずりながら学校に行くと、まだ深月の姿はなかった。

オレの姿を見つけると、すぐさまチョコと陽人が駆け寄ってくる。

「ヤマタロ、深月がまだ来てないんだけど……」

昨日、オレは深月とメールをする一方で、チョコや陽人と電話で話をしていた。

電話と言っても、深月はチョコには「慎と別れた」ということしか報告していなかったようで、状況が分からない二人はただ「どうしよう」を繰り返すだけだったし、オレは半分上の空でそれを聞いていただけだったが。

「俺、昨日心配になってベランダに出て深月の部屋をのぞいてみたんだけど、あいつ多分泣いてたんだ……泣き声が聞こえた気がする……」

陽人、そんなことしてたのか?
これじゃ、お前が立派なストーカーじゃないか……。

「深月、大丈夫かなぁ……」

チョコは泣きそうな顔をしている。

「大丈夫だよ」

俺がそう言うと、チョコがかみついてくる。

「もう!ヤマタロったら、何の根拠があってそんなこと言うのよ!」


……お前達よりは知ってるんだよ。

そんな言葉をぐっと飲み込んで、オレは自分の席に着いた。

とにかく、眠かった。

ちょうど1限目は滝田の授業だ。


……寝てやれ。

オレは机に突っ伏した。

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