君を探して
駅への道は、すっかり人影がなくなってもの寂しい。

……それにしても積極的な女だな。

この調子で慎にも迫ったのか?

そうだとしたら、慎がフラっとしてしまうのも納得できる。

こんなこと、深月には逆立ちしたってできない芸当だしな。


駅前には沢崎エリナが1人で立っていて、オレの姿を見つけると嬉しそうに小さく右手をあげる。

「来てくれて、ありがとうございます!」

オレはそういうエリナの横を素通りし、自動券売機で入場券を買った。

「終電に乗ってもらわないと困るからね。帰りは上り?下り?」

そう言って、先に改札を通る。

「ホームで話そう」

オレがそう言うとエリナは慌てて切符を買った。


……まだ買ってなかったのか?

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