君を探して
次のバッターが内野ゴロでアウトになる間に、陽人は3塁に進んだ。

そして、その後にバッターボックスに入ったのは……


……ヤマタロ。

「打つかな?」

チョコは身を乗り出して、ピッチャーがボールを投げるのを待ち構えている。


ヤマタロは、いつもと同じ、やる気があるのかないのか分からない調子で、素振りもせずにバッターボックスに入ると、軽くバットを構えた。


そう。

いつだって、ヤマタロはそうなんだ。

余裕たっぷりの表情で、

どんなことでも器用にこなして、

つかみどころがなくて。

そのうえ、人の気持ちはお見通しで……。


ピッチャーが、1球目を投げた。

< 251 / 308 >

この作品をシェア

pagetop