君を探して


……ヤマタロは、ズルい。


私のことをからかうときも、
優しく励ますときも、
こんなドキッとすることを言うときも、


いつだって、余裕たっぷり。


私はヤマタロの一言一言に、こんなにドキドキするっていうのに。


私は箸を持って、ご飯を口に運んだ。

本当は何も食べたくなかったんだけど。


ヤマタロはとっくにお弁当を食べ終わっていて、机に片肘をついて、私がちゃんとお弁当を食べるかどうか見守っている。

「ほら、次は卵焼きな」なんて言いながら。


「……オレ、分かってるつもりだから」

「え?」

「深月はそんなに器用な奴じゃないだろ。だから、いきなりこんなことになって戸惑ってるのは分かるから」

「……うん」

「だから、返事は急がない。ゆっくり考えて?」

「……うん……」

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