君を探して





その後の長い沈黙を破ったのは、ヤマタロだった。


「悪かったな、オレで」



横を向いたまま。

肘をついたまま。

足を組んだまま。


私は、ヤマタロを怒らせてしまったんだ……。

「ごめん……」

「分かったから、早く弁当食べろ」


ヤマタロはそれっきり、何も話さなかった。

ただ、私がお弁当を食べ終わるのを、じっと待っていてくれた。



私は、1人で泣きながらお弁当を食べた。



お弁当は、どんなおかずも、しょっぱい涙の味しかしなかった。



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