君を探して

好き!

それから、1週間が過ぎた。

その間、私はヤマタロと一言も口をきかなかった。

あんな後では、私から何て話しかければいいのか分からなかったし、ヤマタロも明らかに私を避けていて。


もしも私がヤマタロより後ろの席だったら、気づかれないようにヤマタロの表情を伺うことができたのに。

だけど、ヤマタロはいちばん後ろの席で。

振り返ったときに目が合うのが怖くて、私は一度も後ろを向けなかった。


お昼も、同じ教室にいるのに、私はチョコと、ヤマタロは陽人と、別々にお弁当を食べた。

部活のパート練習も、タケちゃんが
「寒いから外で練習するのはイヤです-!」
って鼻声で訴えるから、ここ最近はずっと室内で。

グラウンドで走るヤマタロの姿を見ることもできなかった。


こんなに長い間、ヤマタロの顔も見ず、声も聞かずに過ごすのは、中学のときにヤマタロと出会って以来、初めてのような気がする。

なんだかヤマタロが側にいない分だけ私の周りの酸素が薄くなった気がして、毎日息苦しかった。
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