君を探して
「何よそれー! 私はてっきり、ヤマタロは怒ってるとばかり思ってたのに!」

「……まあ実際、傷ついてたけどな、アイツ」

「え?」

「残念なことしたよなー、お前。アイツの一世一代の大告白、聞き逃したんだって?」

……何よそれ。

告白なんて、知らないってば。

「アイツ、『二度と言わねー!』って怒ってたぞ」

そういう陽人は、楽しそうに笑っている。

そう。
まるであの時、エリナの話をしたヤマタロみたいに。

ヤマタロも陽人も……何なのよ、もう。


「……なあ、深月」

足を止めてそう言った陽人の声色は、さっきまでとは全く違う真剣なものだった。

2,3歩進んだ私も、立ち止まり、陽人の方を振り返る。

「恭太郎はお前が考えてるよりずっとお前のこと大事に思ってるから、安心しろ」

陽人が、ヤマタロのことを名前で呼ぶのを初めて聞いた。

「それで、もうあんまりオレに心配させるな」

「うん……」

「お前が誰かを好きになるたびに、俺は、お前が幸せになれるかどうか気が気じゃないんだから」

「うん……」

「だから、もう、アイツで最後にしとけ」


そう言った陽人は、私の幼なじみではなく、ヤマタロの親友の顔をしていた。

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