君を探して
「えっと……久しぶりだね……」

電話をかけてみたものの、何を話していいか分からない。

「ヤマタロ、今、忙しくない?」

「ん、大丈夫」

「そうかーそれは良かったー」

………。

やばい。
会話が続かない。

1週間の空白っていうのは、想像以上にキツかった。

しかも、最後は気まずかった訳だし…

何か話さないと!って思って部屋の中をキョロキョロ見回してみたけれど、話題になりそうなものは何もない。

強いて言えば、隣の部屋で寝ている陽人のことぐらいだけど……

……それも冴えないなぁ。


いやいや、やっぱりここはまず、この前言い過ぎたことを謝っておこう……。


すると、そんな私の緊張をすっかりお見通しのヤマタロが話を切り出した。

「深月、明日は暇?」

それは戸惑ってしまうくらい、いつも通りの口調。

「えーと、朝から部活なんだけど、午後からは自主参加だから、抜けられるけど……?」

「ちょうど良かった、オレも練習、昼までで終わるから」


……だから?


「昼から、デートしない?」

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