君を探して
ふと、温かいヤマタロの手が私の頬に触れた。

私の頬をすっかり包み込んでしまうくらい大きなヤマタロの手。

その親指が、私の頬をなぞるように動いて、私の涙をぬぐってくれた。

「ありがとう」

ヤマタロの優しい声。

「もう知ってると思うけど、オレも深月のこと好きだから」

私は黙って頷く。


「だから、オレのものに、なってくれる?」



その一言は、

不安でいっぱいだった私の心を

温かく、力強く包み込んで、

一瞬にして幸せで埋め尽くしてしまった。



私は、泣きながら、

大きく何度も頷きながら、



「はい!」



と答えた。
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