君を探して
「ねぇ、ヤマタロ」
「なに?」

ヤマタロに抱きしめられたまま、私はまるでふわふわと軽い夢の中にいるような錯覚に陥っていた。


私は、目をつぶったまま、ヤマタロに話しかけた。


「あのね、私もヤマタロが好きなDVDが見たい」
「うん」

「駅のホームで、一緒に缶コーヒーが飲みたい」
「うん」

ヤマタロが、クスっと笑った。

「あんまり他の女の子と仲良くしないで」
「うん」

「他の女の子を好きになったりしないで」
「もちろん」

「急にいなくなったりしないで。ずっと、ずっと、一緒にいてね」

ヤマタロは、
「いっぱいあるなぁ……」
って楽しそうにつぶやいた。



「それと……ね」

「まだあるの?」

「うん、あのね……






……時々でいいから、メールもしてね」





ヤマタロは、

「うーん、それは無理」

って言って、私を抱きしめる腕に力を込めた。



「やっぱり、メールは、めんどくせー!」



それがなんだかおかしくて、私たちは2人で笑った。
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