君を探して
「よし、じゃあそろそろ行くか」

ヤマタロは、そう言うとゆっくりと私から離れ、コートとスポーツバッグを片手に抱えた。

そして、もう片方の手で机の上のトレイを持ち、すぐ横に設置されている返却コーナーに片付けた。

「それと、さっきのは冗談だからな」

「……え?」

「だれが慎の真似なんかしてやるかっつーの」


そして。

私の方に向き直り、私の目を真っ直ぐに見て、言った。



「オレは、オレだ」



……あぁ、そうだ。


自信たっぷりで、

少し意地悪で、

だけど私のことを誰よりも分かってくれて、

大切に想ってくれている……。


やっぱり、ヤマタロは、“オレ”なんだ。





その時だった。

「あ……」

ヤマタロの横に、“オレ”が見えた。

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