君を探して
“オレ”からのメールが届いたのはその夜遅くだった。


<ごめん今メール見た>

時計はもう夜の22時をまわっていた。

確か昨日メールが届いたのも、このくらいの時刻だったよね……。


<もーう、遅いよ!>

<何か用だったの?>

<いや、別になにも>

大体、素性の分からない相手に用があるわけない。

<呼んだだけかよ!>

<うん、暇だったから>

文章が短い分だけ、やりとりはスムーズに続く。
メールというより会話をしている感じだ。

<まぁいいけど。どうした? 彼氏とケンカでもした?>

“オレ”の口から出た『彼氏』という言葉に、私はなぜかドキドキしてしまう。

<そんなんじゃないよ! っていうか彼氏のことまで知ってるの?>

<もちろん>

私が返信する前に、またメールが届く。

<いつも2人のことをうらやましく見てたからね>
< 42 / 308 >

この作品をシェア

pagetop