君を探して
そんな話をしていると、教室のドアが開いた。

「ほら、チョコ。彼氏登場だよ」

教室に入ってきたのは、2人の同級生。どちらも男。

「朝練? お疲れー」

チョコの表情がぱぁっと明るくなった。


「おう」

チョコが声をかけたのは、見るからに体育会系な男。
相馬陽人(はると)だ。

陽人と私は幼なじみ。
家は隣だし、親同士も仲がいい。

私たちの誕生日は2日しか違わない。
生まれた病院も一緒だ。
だから生まれたときからずっと一緒に育ってきた感じだ。

幼なじみで、家も顔パスで、家族ぐるみの付き合いで……
親は「いつまでも2人が仲良くしてくれますように」と願って、『太陽』と『月』からそれぞれ1文字ずつとって、「陽人」と「深月」という名前をつけたそうだ。

でも、残念なことに『幼なじみから恋人へ』っていう素敵な展開は私たちにはなくて、親はかなりがっかりしているみたい。

でも、こればかりは仕方ない。

陽人はいいやつなんだけどね。


そして、そんな陽人が選んだのが、私の隣にいるチョコだった。

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