君を探して
「ヤマタロくんは分かってないわねぇ。噂になって一番傷つくのは深月ちゃんよ?」

そう言ったのは陽人のお母さん。

「だから、慎君は、深月ちゃんをかばってあげたかったのよ」

「……俺にはそうは思えないけどね」

ヤマタロは納得いかないという顔をしている。

「まぁ、うちのバカ息子が一番悪いのは事実だから、深月ちゃんからもガツンと叱ってやって!」

陽人のお母さんはそういうと私の肩をポンポンと叩いてくれた。

なんだかその手が暖かくて、優しくて。

私を励ましてくれいるようで思わず涙が出そうになった。

「物事はいいように考えなくちゃ損よ!」

「うん……ありがとう」

「バカ息子をお願いね。あとでコーヒー持って行くから」

陽人のお母さんは、そういってリビングの奥へ消えた。


「……深月、いくぞ」

ヤマタロに言われ、私は陽人の部屋へ入った。
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