君を探して
明るい照明。

部屋のテレビにはバラエティ番組がうつっていて、お客さんの笑い声が大きく響く。

そんな中、暗い男が1人──。


「おーい陽人、深月が来たぞー」

ヤマタロの声に、私の目の前で膝を抱えて座り込み、暗いオーラを漂わせているる不気味な物体──もちろん陽人のことだ──が顔を上げた。

「おぅ……」

これが漫画だったらきっと陽人の背後は真っ暗で、『どよ~ん』なんて言葉が重くのしかかっているんだろう。

そのくらい、陽人は落ち込んでいた。

「……ずっとコレなの?」

陽人を見たまま、私はヤマタロに聞く。

「あぁ、もうお手上げ」

ヤマタロは大きなため息をついた。

「深月に悪いことした、って。そればっかり」

ヤマタロは軽く陽人の頭を小突いた。

「ほら、本人に直接謝れば少しは気が楽になるだろ」

「あ、あぁ……」



でも、沈黙。



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