君を探して
その後、私たちは陽人のお母さんがいれてくれたコーヒーを飲みながら、テレビを見ながら大笑いして、いろんな話をした。


テレビがCMになったとき、ふと、陽人がまじめな顔で言った。

「……なぁ、深月」

「ん?」

陽人のまじめな声に、私は少し緊張した。

「俺たちって、中学のときとか、周りのやつらに、勝手に付き合ってるとかあることないこと噂されたよな」

「うん。そうだったよね。みんな好き勝手なこと言ってた……」

「それが原因で、俺もお前も彼氏とか彼女とか、できなかったし」

「そうそう! まあ、原因はそれだけじゃないかも知れないけどねー」


……懐かしいな。

中学の頃は私たちも周りもまだ幼くて、「幼なじみ」という関係をずいぶんと茶化され誤解されてきた。

私が他の男の子と話をしたというだけで陽人が冷やかされ、短気な陽人はいちいちそれを真に受けて怒り、さらに周囲は「相馬が妬いてる!」って盛り上がった。

一時期、私たちはそれが嫌になり、学校でも家でも、お互いを避けるようになった。

隣同士に住んでいながら、わざと朝の登校時間をずらし、学校でも徹底的に無視を続けて……。


だけど、それは長く続かなかった。

「何で俺たちこんなことしてんだよ!」

と陽人がキレて、私もそれに同意したのだ。


そうそう。

あの頃から陽人は熱かったんだよね……。


私はそのときのことを思い出して笑った。


「ふふ……懐かしいなー」

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