君を探して
「でも、高校に入って、俺に先に彼女ができて」

「うん」

彼女って言うのは、もちろんチョコのことだ。

「その後すぐ、お前にも慎っていう彼氏ができて」

「うんうん」

「俺、本当に嬉しかったんだよ……」


……分かるよ、陽人。

私も、陽人の想いがチョコに通じたとき、嬉しくて涙が止まらなかったもん。

陽人に絶対に幸せになってほしいって、心から願ったよ。

「だから、お前と慎には絶対うまくいって欲しかったし、慎を呼び出して『深月を泣かすな』みたいなことを言ったこともあるし」

「そうだったんだ……」

さっき、部室でも言ってたよね。

そんなことがあったから、慎は陽人の存在をよく思えなかったのかも知れない。

……もちろん、それだけじゃないんだろうけど。

「だから、さっき慎が違う女といちゃついてるのを見たとき、頭に血が上って……後先考えずにあんなことして……本当に悪かったな」

「ううん!」

私は首を横に振った。

「もういいよ。ありがとー、陽人」

驚いたし、
ちょっと腹も立ったし、
恥ずかしかったけど。

……でも。

「怒ってくれたこと、嬉しかったよ」

私がそういうと、陽人は顔を真っ赤にして。

そして嬉しそうに言った。

「お、おう!」

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