君を探して
「でも、安心して! それって『嫉妬』じゃないから。純粋に羨ましいだけだから」

「……え?」

「だって私、今まで深月に嫉妬したことなんてないよ~。あ、でも逆に陽人に嫉妬したことはあるかな」

チョコは満面の笑みを浮かべている。

私はまだ、チョコの言う言葉の意味を理解できずにいた。

「……どういうこと?」

「だーかーらー。陽人と深月を見てて、2人の間に恋愛フラグを感じたことがないっていうこと!」

チョコはあっけらかんと笑う。

「だって、2人の会話聞いてたら、食べ物とか家族とか、テレビの話ばっかりなんだもん。2人とも色気なさ過ぎなんだよ~。そんなんでどうやって嫉妬しろっていうの?」

あ……。
それは確かにそうかも。


私たちは、どこからどう見ても友達か兄妹で。

いつも一番近くで私たちを見ているチョコには、ちゃんとそれが分かっているんだ。


「だから、私はむしろ、深月を巡って、陽人とライバルなんだよ?」

「チョコ……」

「深月は大事な親友だもん! そんな深月のことを私より知ってる陽人のこと、嫌だと思うことはあるね!」


どうしよう……。
なんだかすごく嬉しいよ……。

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