君を探して
「それにねー」

「うん、なに?」

「陽人は私にベタ惚れなんだもん!」

チョコは背筋をぴしっと伸ばして、自信満々に言った。


……さすが、チョコ!


私は「参りました」って言うしかなくて。

チョコも「よしよし、分かればいい!」って私の頭を撫でてくれたりして。

私たちは目を見合わせて笑った。


「でもね、深月。私は陽人に助けられてるんだよ」

少しまじめな顔に戻ったチョコが言う。

「陽人は、私がいろんなことを不安に感じる暇がないくらい、いつも言葉や態度で安心させてくれてるから」

チョコの肩越しに、友達と話している陽人の姿が見えていた。

陽人は友達の輪の中にいながら、時々横目でチョコの後ろ姿を見ていた。

いつだって、大事なものを見守っているように…


「だからね。私も負けないくらい陽人を幸せにしてあげなきゃって思うの!」

あぁ……もう、すごい。

私の目に映るチョコと陽人は、距離は離れているのに、まるで寄り添っているように見える。

別々のことをしていても、お互いのことを気にかけて、意識して、しっかりとつながっているようだった。

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