君を探して
待ち合わせ場所のファストフードは、学校の最寄駅の目の前にある。

駅近辺には、他に小さな書店とコンビニががあるくらいなので、私たちにとっては格好のたまり場だ。

放課後になると、店内は制服姿の生徒であふれかえる。


学校からお店までの道を1人歩いていると、楽しかった時のことを思い出す。

思い出すって言っても、つい1ヶ月前のことのはずなのに、なんだかもうずいぶん前の事みたいだ。


部活の帰りに、2人でよく寄ったなぁ。

コーヒー1杯で何時間も粘って、店員に目をつけられたっけ。


お店の前までくると、私は足を止めた。

窓際の席に座っている慎の姿を見つけたからだ。

慎は、参考書を広げて勉強をしている。

難しい問題を解いているんだろう、まだこちらには気づいていない。
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