君を探して
あぁ……そういうことなんだ。


慎はもう『別れ』を前提に話を進めているんだ。

話し合う必要なんて……ない。


「俺、いい機会だから、部活やめようと思うんだ」

「え?」

「ずっと前から考えてたんだ。ほら、来年受験だし。部活やってる余裕なんてなくなるだろ?」

「……」

そんな話、一度も聞いたことなかった。

「だから、深月は残ったらいいよ。当分は嫌な思いをするかも知れないけど、すぐにみんな忘れると思うし」

「……」


でもね、慎。

滝田先生、私たちに残ってほしいって言ってくれてたよ。

明日も明後日も休んでいいから、気持ちの整理をつけて戻ってこいって。

だから、やめずに続けようよ?


そう言いたかったけど、言葉にならない。

だって、そんなの無理だって、分かっているから──


「深月はやめなくていいから。それだけ、どうしても伝えたくて」


私は唇をぎゅっとかみしめた。
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