君を探して
<──以上!>


そこまで書いて、私は一息ついた。

これだけ話すのに、一体メールを何通送ったんだろう?

“オレ”は時々相づちを返しながら、私の話を聞いてくれていた。


<そうか、頑張ったな>

頑張った、っていうのとはなんだか違う感じがする。

だけど“オレ”の暖かい言葉にはホッとさせられた。


<あっけないものだよね。涙も出なかったよ>

<それって強がりで言ってるんじゃなくて、本音?>

<うん。心の準備もできてたしね>

少し考えて、続けた。

<慎のこと、もう、好きじゃなかったのかな>


チクンって、胸に小さな痛み。

こんな風に自分の恋を語るのは辛かった。


少し間があった後、“オレ”からの返信があった。

<だったら、ひとつお願いがあるんだけど>

<なに?>

<あいつとの思い出、全部オレに聞かせてよ。それで、全部話したら、忘れちゃえよ>
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