彼等の物語
二幕―招待―
「さて、昨日の話の続きしよう?」
 学校の校門で待ち伏せして開口一番がそれかよ、リーリア。なんで嬉しそうに笑ってるんだよ。俺はまだ答えてないんだから、その微笑みはせめて答えた後にしてくれよ。それにさ……俺はたった今登校してきたばかりなんだけど。もちろん遅刻しないで。
「今からは無理だ。放課後にしてくれ」
 そう言い校舎へと向かおうとした俺の進路をリーリアが塞いだ。
「嫌がらせか?」
 正直そうとしか思えない。本音を言えば昨日みたいな夢物語はあまり聞きたくない。気になるから。
「放課後じゃ間に合わない。その時間には『あいつら』がもうこっちに来てる」
 急に表情を変え、怨むようなそれでいて悲しむような表情で言った。
「誰だよ?『あいつら』って」
 その単語だけやけに強調させてたように聞こえたから質問してみた。
「昨日のカフェに行ったら教えてあげる」
 結局はそうなるのか…しょうがない。乗り掛かった船だ。最後まで話を聞くか。
「わかった。じゃあ行こう」
「待って」
 俺が駅前のカフェへと向かおうとするとリーリアがそれを遮った。
「なんだ?」
「鏡螺君にも連絡してもらっていいかな?」
 あー、うん。あいつの事すっかり忘れてたな。とりあえずメールしとくか。
「メールしとくよ。それじゃあ、今度こそ行こう」
 今度こそ俺達はカフェへと向かった。




「遅かったな、星夜」
 俺とリーリアがカフェに着くとなぜかもう鏡螺が居た。
「お前、早すぎないか?」
「まーな。駅に着いた時にメールが来たんだよ」
 あの時間に駅に居たら完璧に遅刻じゃねえか。結果的に俺も遅刻になるけどな。二日連続で遅刻か…しょうがないか。
 そんな事を考えているとリーリアは椅子に座っていて俺だけが立っているのに気付いた。少し恥ずかしくなったがそれを顔には出さず椅子に座った。
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