彼等の物語
 店員が俺達に近付き注文をとる。全員昨日と同じ物を頼む。それを聞いた店員は注文を繰り返した後に厨房へと戻っていった。
「昨日の話の続きを聞かせろ」
 店員が居なくなったのを確認してからリーリアに促した。
「その前に、昨日の話は覚えてるよね?」
 微笑みながらリーリアは聞いてきた。その事に関してなら俺は大丈夫だが、鏡螺の方は些か不安がある。そう思い鏡螺を見てみると何も変わったものは見受けられなかったから大丈夫みたいだ。
 大丈夫、と俺がその旨を伝えるとリーリアは安心したように肩の力を抜いた。そんなに不安だったのかと吐き捨てたくなるのを抑えてリーリアが口を開くのを待つ。
「それじゃあ、昨日の話の最後は覚えてる?」
「男が破壊を止めて世界が平和になっただろ」
 それがどうしたといった感じで俺は言う。
「どうやって男が破壊を止めたか、分かる?」
「分かるわけないだろ」
 俺は即答した。大体そんな事考えもしなかったし考えようともしなかった。
「だろね」
 なら聞くな、と言いたくなるのを堪える。
「破壊の力を持った男と創造の力を持った男は相対する存在だった。片方が死ねば、もう片方も死んでしまうって感じだね。創造の力を持った男はそれを無意識の内に理解していた。だから男は…」
「命をたった、か?」
 俺はリーリアが言うであろう言葉を疑問系で続けた。リーリアは無言で頷いて肯定の意を示した後、話を続けた。
「それで世界は平和になったんだけど、それはすぐにしゃなくてかなりの時間が経過した後。男が死んだ後、世界は壊れてしまった。跡形もなく…」
「ちょっと待て。それじゃあ変じゃないか?」
 俺は思った事を率直に聞いてみた。
「確かにそうだよ。でも合ってるの。世界は平和になった、新しい世界は」
 余計に分からなくなってきた。どうゆう事なんだ?
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