彼等の物語
「簡単に言うと世界は新たに創り出されたの。神様によって」
 今更ながら、話が大きすぎるよな?もう神様とか創造とか破壊とかそんな話は神話ぐらいにしといてくれないと危ない人って思われるぞ。
 頭の奥の方でそんな事を思いながら何気なく横目で鏡螺を見る。かるく予想してた通りに鏡螺は機能停止していた。
「なぜ神様がそうしたかってゆうと男と密約を交してたのよ。それもこれも破壊のせいなの」
 一旦話を止め軽く深呼吸をした後、リーリアは再び話を続けた。
「破壊は男の創造した世界だけじゃなくこっちの世界にも影響を及ぼし始めた。神様ぐらいにしか分からないぐらい僅かにだけど。だけど神様が動くには十分だった。神様は人に力を与える事は出来ても直接殺す事は出来ない。だから男と『男の死後に新たに世界を創り直す』って条件で密約を交した…」
 そこでリーリアは話を止め、息を吐いた。
 ここまで話を聞いたけど俺にはリーリアがこの話を俺達に話す理由が分からない。だけど気になる事があるので聞いてみた。
「男と神様が交した密約ってのは一つだけか?」
「なんでそう思うの?」
 リーリアが真剣な顔をして聞いてきた。そんな反応をされるとは全く思ってなかったから驚いた。「いや……勘、かな」
 口ごもりながらも俺は答える。それを見たリーリアは微笑んだ。
「勘、ね。でもいいとこ突いてるよ」
 微笑んだ瞬間は馬鹿にしてるのかと思ったがそれを聞いて安心した。俺が再び問いかけようと口を開いた時、それよりも早くリーリアが口を開いた。
「実はね、昨日の話とさっきまでの話は前置き。本題は今から話す事なの」
 あれだけ話しといて全部前置きかよ。長すぎだろ。
 とは口が裂けても言えず俺はリーリアの話に耳を傾ける。
「星夜君の質問の答えだけど、密約は一つじゃない。世界を創り直すともう一つ、――男を新たに創られた世界に蘇らす事」
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