彼等の物語
 あの後俺は一切反論の余地を与えられず、なしくずし的に駅前のカフェへと連れ込まれた。
 言わずとも知れた例の馬鹿と謎の美少女に。
「カフェオレを一つ。星夜君と鏡螺君はどうする?」
「俺はオレンジジュース。鏡螺は?」
「メロンソーダで、以上です」
 俺達三人が言った注文を繰り返し店員は厨房に入っていった。
 それにしても…
「鏡螺、お前いつの間に俺達の名前教えたんだ?」
 俺は鏡螺にしか聞こえないように小さな声で聞いた。
「えっ?お前が教えたんだろ?」
 ―――どうなってんだ?
 なんでこの女は俺達の名前を知っている?……予め俺達の事を調べてたのか?……何の為に?
 聞いた方が早いかな――
「謎の美少女、なんで俺達の名前を知っている?」
「謎の美少女って、私の事?」
 妖美に微笑みながら美少女は聞く。
「そうだ。もう一度聞くがなんで俺達の名前を知っている?」
 俺がもう一度聞くと美少女は瞳に妖しい光を灯した。
 鏡螺は雰囲気を察したのか黙っている。
「調べたから、知ってる」
 器用に目だけを笑わせながら美少女は答える。
「なんの為に調べたんだ?」
「昔々、一人の男がいました。その男は…」
「俺はそんな話を聞きたいんじゃない…!調べた理由を教えろ」
 急に変な話をしだした美少女を睨みつけ、怒りを声に滲ませて話を止めた。
「この話はあながち関係ない訳じゃないから聞いて」
 今度は完璧に無表情で言った。
 とても不気味だ…
「わかった」
 あまりの不気味さに頷いてしまった。
「ありがとう。よく聞いてね。君達にも結構関係あるからね」
「君達?」
 少し気になったので聞いてみる。
「そう。キ、ミ、タ、チ。だから、よく聞いてね」
 そう言って美少女は話し始めた…
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