彼等の物語
 昔々、一人の男が居ました。その男は常々ある事が出来ないかと悩んでいた。そのある事とゆうのは…
 ――異世界に行けないかとゆう事。
 これは男の昔からの夢だった。しかし、現実ってゆうのは当たり前のように厳しくて、そんな男の夢なんか到底叶う訳がなかった。
 私達が知ってる現実なら。
 話がいきなり変わるんだけど、神様って存在はとても気まぐれなの。その気まぐれの神様は何を思ってかは分からないんだけど与えてしまった。
 世界を創る力を―――男に。
 もちろん、男は喜んだ。そして創造した。自らの思い描く世界を。
 出来上がったその世界は確かに思い描いた通りの世界だった。だけど、人の力は完璧じゃない。例えそれが神に与えられた物であったとしても、それは神だからこそ完璧に扱える。人には完璧に扱う事は到底無理な話。
 つまり、出来上がった世界も完璧ではなかった。
 嵐の前の静寂とは良く言ったもので、しばらくの間は何も異変は起こらなかった。しばらくの間は…
 そして、然るべくして異変は起きた。世界が――壊れ始めた。自然にではなく、人為的に。
 それが、完璧に思い描いた世界に有る筈のない、欠点。神の与えた力は必要のない存在まで創り出してしまった。世界を創造する力をもった男と対極になる存在。
 世界を壊す力をもった男を。
 もちろんの事、男は嘆いた。永年の夢、悲願とも言うべき異世界に来れたのに、その世界が壊れ始めたのだ。それも自分の創り上げた世界なのだから悲しみは余計だった。だからこそ男は決めた。
 破壊を止めようと。


 いくらかの問題はあったが男は破壊を止める事に成功した。
 これで男の夢で創り上げた世界は平和になった…
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