私の最低な元カレ
「はいよ、まいどありー」
メロンパンを買い終わった男は
何にも気付かず
呑気に口笛なんかを吹きながら
…私の横を通って行った。
「……」
私は“あのアホ男”がいない高校、
この高校へ進学した。
…つもりだった。
ううん。
だって“あのアホ男”は引っ越したんだ。
ずーっと田舎に引っ越していった。
だから…だから!
こんな都会の学校に…いるわけ…
「あっれ?」
放心状態の私の肩をポンと叩き
呑気な声が私にふってきた。
「藤原夢じゃん?」
「……」
私は無視しようというか…
声が出なかった。
だけど、
「夢?知り合い?」
麻衣が、私のことを“夢”と呼んでしまった。